とある被験者の性能実験

癖の強い黒髪に反抗的な三白眼をした青年が連れてこられた先は、強化ガラスで囲まれた見慣れない部屋。
部屋の中央には産婦人科の分娩台に似た、背凭れが昇降式の装置がある。それは非常にグロテスクで悪趣味な形状をしていた。
「なんだこれ……痛ッぐ」
『口答えするな被験体A-112。お前にはそれの性能実験を命じる』
「性能実験て何だよ、何すりゃいいわけ?」
挑発的に語尾を上げ、天井の隅のスピーカーを睨む。年齢はせいぜい20前後か、不敵な笑顔に反抗心が漲っている。強化ガラスの向こうではお偉方が監視しているに違いない。ここでの青年の扱いは実験動物に等しい。
屈強な警備員が青年の肩を掴み、背中をどやし、力ずくで装置のもとへ連れて行く。
「跨れ」
「わかったよ、言うとおりにするって」
ふてくされてぼやき、謎の装置に乗っかる。どのみちこの施設から脱走は不可能だ、処分が嫌なら大人しく従うしかない。青年が装置に横たわった瞬間、異変が起きる。
「なっ……!」
無機質な機械の唸りに続いて台が緩慢に持ち上がる。驚いた青年が反射的に降りようとすれば、それを見越したようにベルトが射出され、引き締まった四肢を拘束する。
「おい離せよ、解剖でもすんのか!?」
怒りと動揺に声を荒げる青年に対し、機械は無情な責めを開始する。ベルトの締め付けがキツくなり、手首足首が圧搾される痛みに顔が歪む。台の下方に突起が飛び出し、それが青年の股ぐらに迫る。
「やっ……よ、よせ、ふざけ」
パニックを来たして口走る。めちゃくちゃに暴れて拘束から逃れようとすれども無駄で、愕然と目を剥いた青年は、これも台の内部から飛び出した機械の義手によって押さえこまれる。手術用アームにも似た手は驚くべき精密作業を可能する。二本、三……計十本の手が青年に群がって着衣を取り去り、しなやかな裸身をまさぐりだす。
「やっ、ぁっンっぐ、ぁっよせくすぐって、ははっ」
一体何をされるんだ?こみ上げる恐怖で思考が麻痺し、口から制御できない笑いが迸る。十本の冷たい義手が青年の胸板を這いずり回り、乳首を抓って赤く大きく育てていく。
「んっうっ、やッは」
人間の手とは違い、冷たくのっぺりしたアームの質感に生理的嫌悪が膨らむ。義手の凌辱に身もがく青年の手足に、コードの職種が何重にも絡んで締め上げる。
『それは性的興奮時の人間のデータを採取する装置だ』
「な……」
スピーカーから響く無感動な研究者の声が、青年を絶望に突き落とす。足にコードが巻き付き大股開きで固定、台の下方の突起はよく見れば男性器に酷似している。ただし生身とは違い、樹皮とプラスチックと精密部品が組み合わさった物だ。
『実験開始』
「冗談だろ……やめ、先生頼む止めてくれ」
突起が急激にピストンを始め、下着を剥かれた青年のアナルを犯す。
「ん゛ーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
機械のペニスがアナルを貫通、窄まりを拡張して一定の間隔で前立腺を叩く。コードと義手で束縛された青年は仰け反り悶絶、大量の涎を撒き散らして絶頂する。
「やっ、あっ、よせっやっふざけ、もっ無理ッ、死ぬからっァっあああ」
人間と違い疲れ知らずの機械は、片時も休む事なく哀れな青年を犯し続ける。一定間隔でピストンする突起、前立腺を責められる快感で射精に至ったそばからペニスに搾精器が被さり気圧をかけていく。
搾精器の内部に微細な繊毛が生えペニスを包み、鈴口や裏筋をくすぐったかと思いきや、今度は吸盤で覆われて亀頭を吸い立てはじめる。
「ふぁッや、やめっそこ、気持ちイっ、よすぎておかしくなるっも」
コードと繋がった搾乳器が両方の乳首に覆いかぶさり、バキュームのように吸い始める。
無数の義手とコードによる責めで膨らんだ乳首がさらに刺激され、青年が「ひあんッ、ァっあっあ――――!!」と欲情しきったメス顔で絶叫。
青年がすっかり出来上がったのを見計らいピストンにさらなる機能が加わる。速度を上げて今度はドリル状に回転、アナルの肉襞を巻き込んで前立腺をいじめぬく。
「ひゃっ、らめ、もッ死ぬッ」
そそりたったペニスが間欠的に汁を飛ばし、連続で絶頂にのぼり詰める。精液を搾り尽くしてもまだ足りずドライオーガズムで痙攣、どこもかしこも蕩けきって堕ちていく青年をガラスの向こうの研究者が冷ややかに見守る。
機械に犯される屈辱と嫌悪感が快楽に飲まれて消失し、焦点の合わない虚ろな瞳で、全裸の青年がねだる。
「もっとちょうだい」
しどけなく乱れた黒髪の下、淫蕩な熱に濁った瞳が義手を仰ぎ、ピストンに合わせて自ら腰を振り始める。
「あっあっ機械のおちんちんイイっ、奥っすっげ、もっと俺の孔ずぽずぽしてっ」
機械の分娩台で犯される青年の痴態を、天井に設置されたカメラが無機質に記録する。
「あはっ、ンあっ先生これいい、コイツすっげえ」
『ならよかった。君を被験体に選んだ甲斐があるというものだ』
奢り高ぶり嘯く研究者の声を上の空で聞き、快楽の絶頂で力尽きた青年の意識は溶暗していった。

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