セクサロイドの憂鬱

科学が発達した近未来、世界には人間と酷似したアンドロイドが溢れていた。
工場で日々量産、出荷されていくアンドロイドの用途は多岐に渡る。労働に使われるもの、接客に採用されるもの、そして個人の愛玩用としてオーダーメイドされるものだ。
最後のアンドロイドは主にセクサロイドの名称で呼ばれている。彼女、あるいは彼らは金持ちの好事家に発注され、顧客の好みにカスタマイズされる。
優れたアンドロイドほど人間に近い反応を示す事は世間によく知られている。情緒回路がシュミレートされているのだ。
製造番号U1501はある金持ちの要望でデザインされた。
シルクのように美しい銀髪、透けるように白い肌。全体的に色素が薄く華奢な体躯で、涼しげな切れ長の眸だけが冴え冴えと赤い。無機質な人工美だ。突出した美形と評すのは可能だがセクサロイドは皆魅力的な容姿を備えているので、かえって無個性に堕す。
「彼はある資産家の要望で設計されました。これから出荷されます」
「ふむ、これは美しいね。まるで生きているようだ」
工場の視察に訪れた投資家に、デザイン担当の博士が事務的に説明する。
「起動させましょうか」
「ああ、頼む」
投資家が頷き、博士がパネルを操作する。すると製造番号U1501の瞼が微痙攣、緩慢に上がっていく。
「……ここは……?」
「おはようU1501」
「あなたはだれですか」
「さしずめ君の生みの親かな」
白衣を纏った壮年の博士がにこりと笑い、媚びるように投資家に向き直る。
「出荷前の性能実験をご覧になっていかれますか」
「性能実験とは?」
「彼がセクサロイドとしてちゃんと機能するか調べるんです。出荷後にクレームをねじこまれて、返品されちゃ困りますからね。身体の表も裏も万全な状態に整っているか試験するんです」
「興味深いね」
投資家の合意を得た博士がセクサロイドの青年に歩み寄る。青年は不安げに瞬きし、人工の赤い瞳に博士を映す。まるで人間のような反応。
「何をする気ですか?」
博士が素早くパネルを叩いて何かを入力、青年を封入した等身大のカプセル内部に変化が起きる。機械のカプセル内部に微細な繊毛が生まれ、複雑に蠢きながら青年のすべらかな肌をくすぐりだす。
「ッ、あは、あははっ!」
青年が咽喉を仰け反らせ笑い出す。発作のような哄笑。見開かれた目にみるみる涙がたまりだす。
「あの涙は?本物に見えるが」
「もちろんそう見せているだけです。セクサロイドですからね、涎や涙、あらゆる体液の分泌量を調整できますよ。人工ですが」
博士が冷静に説明し投資家が感心する。青年は全裸だ。そのしなやかな四肢を繊毛が包んでくすぐり、存分に笑わせてぐったり消耗させたのち、手前の床に切れ目が走る。床の一部が外れ、中から装置が出てくる。
「は、博士……やめてください」
「嫌がっているが」
「そうシュミレートしましたからね。彼の顧客はサディストなんです、若い男のキレイな顔を歪めるのが何より好きなんです」
涙声で懇願する青年を無視、博士が指示を下す。装置が唸りを上げて起動、巨大なディルドを模した紡錘型の突起が回転しだす。
「あっあ、んッあ博士、いやです!」
青年の拒絶虚しく、アナルからは潤滑剤が溢れだす。
「通常の男性ではアナルが濡れるなど生物学的にありえませんが、セクサロイドですからね」
「彼の性別は変換できるのか?」
「女体に?不可能ですね、製造番号U1501の顧客はゲイの富豪です。彼は最初から男性型として設計されているので、さすがに後天的性転換は望めません。精神面もヘテロセクシャルの男性にならっていますよ」
「なるほど、股間に立派な物が生えている訳だ」
「くッ……」
視姦の恥辱に顔を赤らめ、唇を噛んで俯く青年。剥き出しの股間には美しいペニスがたれさがっている。アナルから分泌された潤滑油で内腿がべと付き、下肢を淫猥にてからせる。
「お願いです博士、やめさせ、ン―――――――――――ッ!?」
電動式ペニスが愛液滴る青年のアナルを貫通、無慈悲なピストンを始める。
「あっ、あっ、はかせっやだ、助けンあッふあッあ」
カプセル内の青年が大量の涎をたらして悶える。電動式ペニスの抽送は容赦なく、新品のアナルを犯していく。
「ふあっ、ひンっあ、ふぁっアんっ、あっはア」
「彼に前立腺はあるのか?」
「もちろん、生体の男性を模した器官は全て備わっていますよ。前立腺への刺激が強烈な快楽信号として全身に回るんです、その衝撃は人間の比じゃない、常に絶頂しているようなものです」
「あっはっ、気持ちいいです博士、アあっあン」
青年が快楽に腰をくねらせ主張する。その頬は淫らに染まり、目はとろんと濁っている。セクサロイドとして何段階も調整された体は、生体には不可能な連続絶頂を可能にする。電動ペニスがアナルを貫いて前立腺を叩く都度、若いペニスは屹立して濃厚な白濁をまきちらす。
電動式ペニスを支える装置から無機質なアームが伸び、青年の肉体に群がる。乳首の根元を搾って脇腹をまさぐり、敏感な内腿を揉みしだき、白濁に塗れて痙攣するペニスをめちゃくちゃに捏ね回す。
「ンふ――――――――、ひあッんあっ、アあっあ―――――――――!」
根元まで埋まったアナルに電動式ペニスに異変が生じる。ペニスの表面の肉眼ではとらえきれないミクロな孔から、ぬるい水が放出。
「出荷前に内部を清潔にしておきませんとね。我が社は衛生面を重んじるんです」
「博士やっ、こんな中っ、気持ちいっ」
青年がびくびくと震え、ぬれた瞳で博士を仰ぐ。上擦る腰を機械のアームが押さえ付け、別のアームがペニスを捏ねて搾乳する。
「水圧を上げてみますか」
「大丈夫か?」
「耐久実験の一環ですよ。何、我が社のセクサロイドは頑丈なので心配いりません」
博士が自信満々に宣言、パネルを操作する。電動ペニスの水圧がどんどん上がり、電気ショックに似た高圧水流が青年の前立腺を直撃する。
「ひあんっ、ンぁあっあ――――――――――!!」
セクサロイドでなければ到底耐えられない衝撃が脊髄から脳髄まで駆け抜け、もう何度目か強制的な射精を体験する。
美しい銀髪を額に張り付けた青年は、そうして性能実験の名のもと、残忍な機械に凌辱され続けるのであった。

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