浮気のおしおきに口輪と鎖で拘束される

自分を束縛する恋人への反発からバーへ行った彼を待ち受けていたのは、想像を絶する折檻だった。

「ご機嫌じゃん」
「……っは……」
目覚めて最初に感じたのは口の違和感。続いて顎関節の可動域を制限されているのに気付く。
両手首に絡み付く鎖を引きずり、息苦しさに喘いで恋人を凝視。
口には無骨な鉄製の器具が嵌まっている。彼も見たことがある、犬の調教に用いる口輪だ。
犬の骨格に準じ前方に突出した形状で、側面のバンドを耳にかけて装着するタイプらしい。
清潔さすら感じさせる華奢で優しげな顔立ちの青年が、頑丈な口輪を嵌められ這い蹲るさまは倒錯したエロスを醸し出す。
鎖に繋がれた彼は、恋人が伴うただならぬ怒りに気圧される。
「く、るな」
「なんでこんな……」
「わかんねェ?」
口元だけの笑みが限りなく薄まり、酷薄な目に吝気の熾火が爆ぜる。
「浮気したろ」
「まさか」
「とぼける気かよ、昨日バーで他の男に媚売ったろ」
「酔ってたんだ」
「すぐそうやって言い訳する。都合よく記憶喪失になりゃ許してもらえるってか」
震え声での必死な弁解を嘲笑い、彼の正面にしゃがみこむ。
「俺以外の男に言い寄られてよろめいたんだ」
「嘘だろ」
「本当だよ。帰りが遅ェからヤな予感がして行ってみりゃ案の定、不細工に肩抱かれてお持ち帰りされるとこだった。で、酔い潰れたお前を回収したってわけ」
「相手はどうしたんだ」
「さてな?」
「まさかお前」
「殺しちゃねェよ、安心しろ。よくて瀕死だ」
目覚めたら口に悪趣味な矯正器具が嵌められていた上に全裸。コイツは自分が酔い潰れている間に服をひん剥き、手首に鎖を繋いだのだ。
「悪ふざけはやめろ、怒るぞッ……ぐ!?」
強烈な平手打ちが飛来。
頬をはたかれて唇を切る。たまらず突っ伏した彼の前髪を鷲掴み、宙吊りにする恋人。
「腹に据えかねてんなァこっちだメス犬。テメェは初めて咥えた竿の味も忘れちまうようなビッチかよえェ、そのだらしねぇケツにたっぷり教え込んでやっただろうがまだ足りねェのか」
「お、落ち着いて話そうはなせばわかる。何かの誤解、お前の勘違いだよきっと。浮気なんてしてない、お前が疑うようなこと何もなかった」
「証明できるか」
「本当に何もなかったんだよ、信じてくれ。お前以外のヤツにそんな気起こすなんてありえない、そりゃアルコールのせいでちょっとやらかしたかもしれないけど……」
「許してほしけりゃ芸をしな」
青年の咽喉が驚愕と嫌悪に引き攣る。
恋人が突き付けたのは、犬の尻尾を模したアナルバイブだ。先端は細く窄まり、後に行くほど幅広で太くなっていた。
「ケツ上げな」
「ほぐしてない……」
「いらねェだろ?ガバガバだもんな」
恋人が低く喉を鳴らして嘲り、彼の身体は恥辱と怒りに火照る。靴音も高らかに後ろに回り、剥き出しの双丘をこじ開けて中心をさらす。
「ぃっぐ、」
恋人が手に吐いた唾を雑にすりこみ、アナルに塗してからバイブの先端をめりこませる。
凄まじい異物感に括約筋が抵抗、大量の脂汗が噴き出す。
「ァ、あぐあ、ゃあすあろっあァ」
「ケツ上げろって言ってんだろ」
「!ッはっ」
鋭い痛みにびくりと跳ねる。恋人が平手で彼の尻を打ったのだ。
「ひっぱたかれて感じてんじゃねーよドМ」
スパンキングがもたらすマゾヒスティックな快感に甘い声がでる。
長年スワローに躾けられた身体は、どんな理不尽な仕打ちや痛みすら倒錯した悦びにすり替えて、股間をはしたなく勃ち上がらせていく。
鼓動に合わせて疼く股間を持て余し、アナルに圧をかけ進んでいくバイブのもどかしさに耐える。
「んッぅぐ、苦し、ァっぐあ、こりこりしてっや、これ変、腹おかしっァあ」
「バイブ突っ込まれて発情してんじゃねーよ、ビッチ」
弟に開発されたきった身体は無機質な異物を受け入れ、悪寒と紙一重の快感に膝裏から崩れ落ちそうになる。
上品なピンク色のアナルは黒いバイブを美味そうに咥え込んでぱくつき、前立腺を圧迫された股間は既にして半勃ちで、しとどにカウパーを垂れ流す。
スイッチを入れられた瞬間、僅かに残っていた理性が根こそぎ消し飛ぶ。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッあァああぁ」
瞼の裏で閃光が爆ぜ、尻だけもたげてその場に突っ伏す。
アナルバイブが腸内で機械的に振動し、最も敏感な前立腺に直接震えが伝わる。
「ァっふあ、やっァあ、止め」
「相変わらず機械の振動に弱ェよな。無機物に犯されるシチュに興奮してんの?変態」
「ァっんぅぐ、俺、悪かった、許しっ゛、ァ謝るンっく、もしないっから」
「したの浮気」
「してないっ、けど!」
「チッ」
なかなかどうしてしぶとい彼から言質を引き出せず舌打ち、恋人の嘲弄とバイブの機械音が二重に鼓膜を苛む。
口輪が戒める口は上手く動かず、腹に響く震えのせいで呂律が回らない。
しおらしくしっぽをたらして縋り付く彼の痴態に嗜虐心をそそられた恋人は、スニーカーの靴裏で小刻みにバイブを蹴り、さらに奥へ奥へ押し込んでいく。
ひくひく痙攣する内腿に擦れる毛束がこそばゆく、鈴口からとぷとぷ迸るカウパーは粘度と濃度を増していく一方。
「もっ、止め、ァんぅ゛ッァああっあふあ、腹っ熱くて変、お前のバイブっ俺ん中すご、ゴリゴリあたって奥ッ、すごい震えてィく、ィきた」
「ケツマンコからすげーあふれてくる。発情汁でエッチなしっぽがびしょびしょじゃん」
恋人がいちいち口笛吹いて実況する。
こんなの頭がおかしくなる。
選りすぐりのアナルバイブは疲れ知らずの無慈悲な振動を続け、異物でかき回された直腸の襞はヴァギナのように収縮する。
「ァぁああッァあああっ」
強烈な振動で前立腺を責め抜かれた彼は、恋人が冷ややかに視姦する中くり返し絶頂に追い上げられる。
擦り剝けた膝がひりつく痛みも、尻を抉るバイブがもたらす快感に比べたら大したことがない。
犬のしっぽに見立てた毛が感度を増した尻をくすぐる都度ぞくぞくし、口輪の向こうの吐息に淫蕩な熱がこもっていく。
「ぬい、て、キツ、腹ン中ぐちゃぐちゃ、っで、もたない」
アナル開発用のバイブの無機質な唸りが鼓膜の裏表で響き、朦朧と思考が濁りゆく。
「してない、浮気なんてッ、ぁッあ、んっああふッぁ」
拷問に等しい刺激で容赦なく前立腺を揺さぶられ、とぷとぷ盛り上がるカウパーの洪水に会陰までぬかるませ、股間に手を突っ込んでのたうち回る。
「おまえっ、が、いちばん、らのにッ」
せっかちに尻を揺すり立て、内腿をしきりにもぞ付かせ、高まりゆく射精欲をやり過ごしのろくさ這いずって恋人の片足に縋り付く。
「も、よせ、ィきたくない」
地味に整った目鼻立ちを極限の苦痛と快感と羞恥に歪め、全身を悩ましく火照らせ、涎に濡れ光る鉄の口輪越しにくぐもった嗚咽を漏らす。
「またくるッ、あすごい、のがっ」
バイブの責めでこなれた尻をキュッと締め、開けっ放しの口から涎を撒き、大きく仰け反って絶頂を迎える。
「ははっ、そんなにしっぽバイブ気に入ったか」
両手を束縛する太い鎖が床でうねくり、ピンクゴールドの前髪が震える都度潤んだ眸に被虐のエロスが漂い出す。
「清潔そーなカオが汚ねー汁でぐちゃぐちゃ。すげーエロいことになってんの、自分でわかる?」
「ァっバイブ、止め、抜けっ」
ピンクゴールドの猫っ毛は汗でしっとり湿り気を帯び、涙をためた睫毛に翳る眸は憔悴に濁っていく。
とうとう片目を瞑ってしまい、残る片目だけ辛うじて薄く開いてせがむ彼がいじらしく、まだ少年のあどけなさを残した面差しの恋人が片膝付く。
「バウワウ言ってみな」
唇を噛んで拒むピジョンの頭を抱き寄せ、優越感を肥え太らせて唆す。
「イきまくりで苦しいだろ?」
手首に巻かれた鎖がじゃらついて動きを制限する。
憎い男の手を借りなければアナルに刺さったバイブを抜くことすら叶わぬ現実に絶望した彼は、涙の切れ端が引っ込むのを待たずにうなだれて一声鳴く。
「…………バウ」
その間も尻ではバイブが唸り続けて、一定に調節された振動が前立腺の膨らみを責め立てる。
「もう一度」
「……お前……」
「早くしねーとまーたイッちまうぜ」
「ゥ……バウ、ワウっふ、んぅっく、バゥっ」
鼻から熱く湿った吐息が抜ける。
気持ちいいのと苦しいのと恥ずかしいのとで彼は犬の鳴きまねをする。
鎖の可動域が許す範囲で恋人の足を掴み、膝までよじのぼり、口輪を自らジーンズの股間へ擦り付けておねだりする。
どんなに口寂しく物足りなくても口輪のせいでお預けだ、可愛いお前をしゃぶれない。
口を使ってジッパーを下ろす事もできず、虚しく上下の歯がかち合うじれったさに悶え狂い、待てとお預けに徹する恋人のジーンズに涙を染み込ませる。
「ふゥっうっ、ふゥうっく」
重たい鎖を引きずって恋人のジーンズをずらし、下着から零れ出たペニスを両手で愛撫し始める。
口が使えない代わりに手を使い、恋人のペニスを根気強く育てていく。
口輪が阻む口は唾液の糸引き、熱い呼吸が鉄枷にあたってこもる。
途中で我慢できず、口輪の僅かな隙間からしゃぶり付けないか試すものの、限界ギリギリまで伸ばした舌先は惜しくも届かない。
口輪からはみ出すにも至らない舌先を諦め悪く伸ばしたまま、手は片時たりとも休めず股間を捏ね回す。
「はあっンっは、お前の欲し、んっぁ」
気分だけでもフェラチオをしたいのか、そうすることでせめて誠意を証立てようとでもいうのか、飢えた舌が細かく柵をノック。
体内から蕩かされて劣情催す悪あがきを恋人が息を荒げて蔑む。
「待てができねえお口だな、矯正器具の意味ねーじゃん」
バンドと金具で開口を妨げられているにもかかわらず、だからこそ顎関節が壊れる限界まで頑張って、窄め・尖らし・舐め上げる、切羽詰まった舌遣いが丸見えの状態で、疑似的なフェラチオがもたらす悦びに陶酔しきる。
「あァあぁっあぁっ、またィった」
「いちいち報告すんな」
「俺ィっちゃ、お前っに、見られながらッ、バイブすご、よくて」
恋人に視姦される恥辱と機械に犯される背徳感に自尊心を打ち砕かれ、腰を前後させながら疑似フェラチオを続けていた彼が痙攣し、肛虐の快感を裏漉しで汲み上げたペニスが連続で吐精。
「しっぽバイブで中も外もドロドロに蕩けまくってら、粘膜全部性感帯だな。次はどうする、腹見せて降参?片足あげてションベン?上手にちょうだいしてみろよ」
口枷からたれた唾液が恋人のペニスに零れて馴染み、てのひらのぬめりをよくする。
肉襞にくぐもるバイブの唸りが響く中、ひたむきな奉仕に煽られた恋人は、わざと意地悪く片頬笑む。
「餌は食ったじゃねーか」
「もっィくっおかし、バイブはいい、お前をくれ」
バイブに貫かれた尻を揺すり立て、べとつく口輪ももどかしく縋りつく痴態に、遂に恋人の自制心も切れる。
ふいに後ろに手を回してしっぽを引っ掴むや、制止に構わず一気に引き抜く。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッあ、ああぁあっ、ぁあっあ」
失禁に似た排泄感が襲い、バイブの突起が括約筋を通る刺激に目を剥いて射精する。
膝裏を突っ張ってビクビクわななき、鈴口から出涸らしを吹き上げる彼に休む間も与えずのしかかる。
「犬のマネ下手っくそだな、バイブの音よか小せェぞ」
「ふあっあぁ」
「しっぽぶんぶん振って楽しそうだったじゃん、何アレ媚びてんの?なりきりで発情しちまった?口輪べろべろなめまわしてさァ挑発してんの、鉄の味しかしねーだろ。テメェのペニスと口、両方が垂れ流した汁でべと付いてばっちい」
「お前がやれっていうから……」
「ちょうどこなれた頃だろ」
彼の腰を掴んで裏返す。動作の拍子に空のボウルを弾き飛ばす。
バイブに何回もイかされまくり、内側から充血して敏感になりすぎたアナルに剛直の先端がめりこんでいく。
「あっぁンあっ、あっああ」
「今度は上手く啼けよ」
彼の口輪が外されるのは、当分先だ。

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