「ん」
ひんやりとした感触に、有村脩平はゆっくりと目を開けた。朦朧とする意識の中で、昨日の記憶を辿る。確か、成人を過ぎて初めての同窓会に参加して、幼馴染みの小島新と久しぶりに再会したのだ。帰りに飲み直そうと店を出たら、知らない男に声をかけられ、それから。
(それから、どうしたんだっけ?)
再び眠りそうになった脩平は、新が倒れているのを見て、ガバッと起き上がった。
「新っ」
脩平が新を抱き起こすと、微かに身じろぎをした。とりあえず、生きていることにホッとしたが、新の両手は後ろ手で手錠をかけられているようで、どうあっても外れてはくれなかった。
「脩平?僕、どうして。えっ、何っ、これっ」目を覚ました新が焦る。
「どうなってんだ。新、昨日のことを覚えているか?ほら、知らない男が話しかけてきたろう?」
「う、うん。確か、道案内を頼まれて、それから、どうしたんだっけ?それより、ここどこ?」
「わからない。倉庫みたいだけど」
携帯電話は取り上げられたみたいでどこにもなかった。脩平は、自分が一緒にいながら新をこんな目にあわせたことを激しく悔やんだ。
「あっ。はあっ」
ガクンッと踞る新に、脩平が慌てる。触れた身体は熱く、息も荒い。
「新?おい、どうしたんだよっ」
「あ、つい。身体が熱いよぉ、脩平っ」
すがるように身体を寄せられた脩平はドキッとした。密着した新の下半身は、あきらかに固くなっていたのだ。ゴリッと擦れるようになり、新が小さく悲鳴をあげる。
「ジッパー、下げて。きつい」
「お、おう」
横に寝かせた新のジッパーを下げれば、勃起した状態のペニスが飛び出してきた。
「はあっ、あっ、熱いっ、あんっ」
足をモジモジしながら身体をよじる新は、脩平には知らない男に見えた。女性的ではないものの、清楚で控えめな美しい顔、身体は中肉中背でほとんど筋肉はなく、ペニスの色は淡く先端からはトロッと蜜が溢れている。
気がつくと、自然と新を後ろから抱き締め、ペニスに指を絡めていた。
「脩平っ、何するんだよっ。やめてっ、あっ」
包まれるように太い腕に抱き締められ、新は焦って身をよじった。
「大丈夫。俺に任せろ」
脩平は何度も、これは人命救助だ。と、自分に言い聞かせた。ジーパンと下着を脱がせた新を、自分の膝の上に乗せて、やや乱暴に扱く。早くこの熱から解放してやりたかった。やがて、新は悲鳴のような声を上げて達した。だが、驚いたことにすぐに新の身体は熱くなり、再びペニスは勃起してきた。脩平はまさかの考えにクラクラしてきた。
(まさか、媚薬?てか、マズイな)
抱き締めた身体の細さに、握ったペニスの心地よさに脩平は、ドキドキしていた。艶っぽい声が耳から離れない。気がつくと、新に唇を奪われ、深く舌を絡められていた。
「お願い、脩平。イカせて」
ペニスを押し付けられ、脩平の理性が崩壊する。新のシャツをはだけさせ、胸の粒を口に含むと、手探りで後ろをまさぐった。男のそんなところに触れたいとは思わないが、新は別だった。躊躇いもなく指を挿入すれば、新の声が更に艶めく。そして、脩平は欲望のままに新を自分のペニスで犯した。
「あっ、ああっ、脩平っ。ダメッ、やめてぇ、んっ、やだぁぁぁっ」
新の悲鳴を聞きながら、脩平は何度もごめんと謝った。新の中は柔らかく吸い付き、脩平を夢中にさせた。
だが、脩平は気づいていない。脩平に激しく突かれている新が、うっすらと笑みを浮かべていることを。実は、これらのことがすべて新の仕組んだことだとは、脩平は知るよしもなかった。
新は、やっと脩平に抱かれることができて、満足そうにその身を委ねる。
媚薬の効果はとっくに切れていた。