目覚め~ひとめ惚れしたコンビニ店員を拉致監禁~

 目が覚めた瞬間に目を奪われた。
 眼前にくり広がる光景は明らかに異常であり、そして、理解出来なかったからだ。
 見知らぬ部屋に何故だか俺はいて、そしてその部屋には漫画や映画の中でしか見たことの無い様な拷問の為に使われるであろう器具がそこらかしこに置かれていた。
 気になったのはどれも使用された形跡がない事だろうか。中には封を開けられていない新品のものまである。
 一体ここは何処なのか。なぜ俺はこんな所にいるのだろうか。
 俺は座っている椅子から立ち上がろうとするも、それは阻まれた。どうやら鎖で縛り付けられている様だった。左右に体を振ってもびくともしない。両手、両足、それぞれを固定している金具は嫌に頑丈だった。
「おや目が覚めた様だね」
「……!?」
 声のした方をみる。
 そこには良く見知った男がいた。彼はそう、俺がアルバイトをしているコンビニに良く来る常連の客だ。
「君が目覚めるのをずっと待っていたよ。ああでも気にしないで退屈はしなかったんだ。君の寝顔を見てたからね」
 何を言っているのか分からないが、状況的にも発言的にも同じ立場とは思えない。
 俺はコイツに監禁されって事だろうか。だとしたらなぜ?
「なぜって顔をしている。いいね。美しいよその表情」
 言うと男は自らの右手で己の下半身をまさぐりだした。はぁはぁと息を荒め、少しずつこちらへ近寄ってくる。
 「ずっと君を見ていたんだ。毎日毎日、シフトが分からないからここ一年は通い詰めた。僕はね、君の事が好きなんだ」
 男は先ほどまで下半身を触っていた右手で不意に俺の頭をなでた。不快感に顔を歪めると心底嬉しそうな笑みを見せる。
「いいねぇ。その表情。凄く色っぽいよ」
「……っ」
 逃げたくても叶わない。
「でもね。君は僕の事を好きでは無かったろう?」
 好きも嫌いも無い。なんとも思っていなかったから。たんなる客であって、それ以上でも無ければそれ以下でも無かった。
「だからさ。拉致ってみたんだ。僕はわがままを言うつもりは無いからね。君に好きになって欲しいとも、愛して欲しいとも思わないよ。大丈夫安心して」
 拷問器具のある部屋に拉致監禁されている状況で安心なんか出来る訳がない。
「君には何も求めない。ただただ僕が君を愛するだけだ」
 男はガバッと覆い被さるように俺の膝へとまたがると口づけをしてきた。とっさに顔をそらそうとするが、頭を押さえつけられてしまった。
 口内をねっとりとした男の舌が這いずり回る。気色の悪い感触に吐き気がする。
「ディープなキスは初めてかい? 直ぐに気持ちよくなるよ」
 男は膝の上から降りると俺のズボンへと手をかけた。ファスナーを下ろされ、パンツをずらされ、俺の陰茎が露呈する。
「綺麗なピンク色をしている」
 男は俺の陰茎を加えるとキスの時と同様にねっとりとした舌使いで舐り始めた。
「くっ……やめろ」
「やめないよ」
 咥えたままの状態で男は喋る。声の振動が共鳴するよう陰茎を震わせる。その刺激にやられて俺の陰茎は見事な反応を示した。
「準備は万全だね」
 陰茎から口を離すと男は自らの服を脱ぎ始めた。色白で細身な肉体には程度に筋肉が付いている。男の体は俺の目から見ても綺麗だと思える程のプロポーションをしていた。
「あんまり見ないでくれよ。僕だって恥ずかしいという感情はあるんだ」
「見て……ない」
 嘘をついた。思わず見取れていた何て知られたら男を興奮させるだけだからだ。そてに認めたくないって感情もあった。男を好きになる様な、好きになった相手を監禁する様な異常者の体に魅力を感じてしまったなんて事は認められない。
「君は押しつけたい、それとも受け入れたい? 僕はね受け入れたい派なんだ」
 ギンギンにそそり立った陰茎を彼は飲み込んだ。口では無く、肛門でだ。
 ニュルンとした感覚の後に暖かさが来る。ギチギチと音を立てながら、キツく絞られた穴の奥へ奥へと俺の陰茎は上がっていく。
「うっ……」
 時間にして僅か数秒。
 俺は果ててしまった。少しだけ物足りなさそうな表情をした男は優しく微笑んだ。
「大丈夫。まだまだ時間は沢山あるからね。それに君にやってあげたい事も沢山あるんだ」
 拷問器具へちろりと飛ばした男の視線は直ぐに俺の顔へと戻ってくる。 
 男は俺の耳元へと口を近づけると囁くように言った。
「僕が一生君を愛してあげるからね」

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